コラム

婚活中のあなたへ    2016.4.16

音楽の処方箋      “ビリー・ジーン”  マイケル・ジャクソン

「婚活」という言葉がいつの間にかすっかり世の中に浸透した。結婚相手を求める男女が一定数いながら、なかなか出会いの場に恵まれないと思っている人が増えているという事だろう。

「私、来年中には結婚したいんですけど、どうでしょうか?」
「お相手は?」
「いません」
「好きな人は?」
「・・・いません」
「・・・・・」
「結婚したいって気持ちになったのはどうしてかな?」
「私もいい年齢ですし、周りの友達ももうみんな結婚しちゃって
あと、親にも早く孫の顔見せなくちゃいけないと思って・・・・・」
「うーん」

恋人が欲しいと願う気持ちを飛び越えて結婚したいと考えるようになったら気をつけて欲しいと思う。日本の女性は20代後半ぐらいから、<結婚はするべきもの> という思いを周りから意識づけられてしまう人も多いと思う。それは、早く嫁にいけと朝に晩に親に言われ会社では同年代の同僚が次第に居なくなり、周りの友人たちがこぞって結婚していく様子を見ていたらそういう意識になってもおかしくはないと思う。

だけど、結婚は親孝行の為にするものではないし、一生を共にするかもしれない相手を、ある一定の期間に限定して見つけなければならないとしたら無理が出てくるに違いない。だけどね、子供を産むには時期ってものがあるでしょう?と言う人もいる。確かに子供を産むのに適した年齢はあるが、子供は愛し合う男女の間に結果として生まれるべきものであって、子供を産む時期を考えてとそれを理由に結婚を考えるというのはなにか言い訳のように聞こえてしまう。

周りの友人たちの様子をみて、結婚すれば幸せに暮らせると単純にイメージしてしまってはいけない。 “恋人が欲しい”ではなく、“結婚がしたい”と思った時は周りの状況に流されていないか自分に問いかけてみる必要がありそうだ。人並みにと流されて結婚を考えても人並みの幸せが手に入るわけではない。それは、そもそも「人並みの幸せ」なんてものがないからだ。

幸せを感じるとはどんな状態だろうか。それは自分が主体性を持った時に感じられるものであるはずだ。友人が結婚してどんなに幸せそうに見えても、それはその人の感覚において感じ取られた幸せであるから、それを殊更に羨ましく思ったり、友人と同じように早く結婚したいと思うのはナンセンスなのだ。まだ相手が定まらない時点で結婚というもの自体にあらかじめ幸せのイメージを描いてしまうのは、実体のないものに夢を馳せるようなものだと思う。

これは結婚に夢を持つなと言うことではない。人を好きになるのを飛び越えて結婚したいと思った時は、自分は何で結婚したいと思ったのかを自分に問うべき時だと思う。自分が本当は何で幸せを感じられるかは自分にしか見出せない。こういう状態の方のお話をお聞きしていくと、将来に対する不安や寂しさ、安定感の欠如といったものがみえてくることが多い。

そしてこういう不安に突き動かされての婚活はあまり良い結果に繋がらないように見受ける。そのような時は自分自身を肯定しにくい時と言えると思うが、そういう時にパートナーを見極める自信が持てるだろうか?自分を信じられなければどんな相手が現れても信じられないかもしれない。もしくは、どんな相手でも依存したくなってしまうかもしれない。

大事なのは、まずは自分自身を知ることだと思う。本当の自分をわかっていなければ自分に合う人を見つけるのは困難なことになるだろう。未だ出会っていない人との結婚に思いを馳せる前に、自分が一人でいても充実した毎日を送るように心がけていることが実は自分に合うパートナーを見つけられる近道なのではないだろうか?

マイケル・ジャクソンの “ビリー・ジーン”はだれもが聞いたことのある歌だと思うがマイケルが披露する華麗なパフォーマンスとは裏腹に、この歌には不幸な男の嘆きが語られている。女性の手練手管によって自分の意志に反して結婚することを余儀なくされた男の嘆きの歌なのだ。恋をする間もないうちに、欲望のままに魅力的な女性と関係をもったが、彼女はその後突然現れてお腹にあなたの子がいるからと迫るのである。彼は叫ぶ。
「ビリー・ジーンは僕の恋人じゃない」
と。そして
“ Do think twice.”
と何度も呼びかける。何をかと言えば、その相手と関係を結ぶべきかということだ。マイケル研究家の安冨歩氏は
「『ビリー・ジーン』という曲は、(中略) 愛でもロマンでもない、女性による残忍な捕食行動と、その罠に引っかかった愚かな男性の悲劇を描き、“Do think twice!”という有り難い教訓を与える歌だ」(注1)
と述べている。

婚活中の皆様は、わたしはいくら結婚したいからってそんなことはしないわと思うことでしょう。もちろんこんなことはそうそうないと思いますが、ただ、この歌に登場するビリー・ジーンはやはり結婚そのものに憧れてしまった可哀想な女性だったのだろうと考えます。相手の気持ちに無頓着で結婚に持ち込んでも幸せにはなれないのに。結婚して幸せな時を過ごすためにはやはり愛とロマンスが必要なので、一生を共にしたいと思える程愛おしい存在をみつけられるように心がけていてほしいと思います。

注1
「マイケル・ジャクソンの思想 第2回なぜマイケルジャクソンはムーンウォ-クをしたのか」
雑誌『ERIS』1号 安冨歩 著 より

安冨歩氏は東京大学 東洋文化研究所 教授。
安冨氏は、マイケル・ジャクソンは偉大な思想家でありその思いを歌に託したという視点でweb上でその考察を展開し注目を浴びている。

『マイケル・ジャクソンの思想』 アルテスパブリッシング より4/22発刊予定

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